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DIALOGUE THEME 02

小売におけるインバウンドの
「今」と「これから」を考えてみる

PROLOGUE

インバウンド(Inbound)とは、訪日外国人観光客のことを指す。「観光立国」を掲げた日本ではインバウンドが一時急増。「爆買い」などの言葉に象徴されるように、小売業界にも大きな波となって押し寄せていた。海外の法規制、コロナ禍などでその状況が様変わりした現在、卸・メーカーそれぞれの営業として最前線に立つ2人は、何を見据えているのだろうか。

K.N
井田両国堂 北部店 営業 / チーフ
2015年入社

入社してから現在まで北部店に在籍。ドラッグストアなどの本部を担当して営業経験を積み、2019年より全国展開をしている大手量販店のメイクカテゴリ担当を任される。インバウンドと国内のお客様、それぞれのニーズの変化を見据えながら、メーカーと店舗がともに良い結果を生み出せる売場づくりに取り組む。

K.O
井田ラボラトリーズ 関西中京販促部 大阪営業所 営業
2017年入社

入社後、現在の所属部署がある大阪に配属。当時はインバウンドが急増中だったため、観光スポットが多い関西エリアでインバウンドのニーズを実地で学び、営業経験を積んでいった。現在は大手量販店の関西エリアおよび大阪に本部のあるドラッグストアを担当し、キャンメイク、セザンヌ、フィアンセなど自社ブランド製品の拡販を行っている。

買い方に迷いがないインバウンド向けに、
「わかりやすい」売場を

化粧品小売における、これまでのインバウンドの実情について
K.N
化粧品の小売では、メインの購買層は中国、台湾、香港からのインバウンドでした。中でも、中国人の方が8〜9割を占めていたんじゃないかな。
K.O
韓国人の方はほとんど見受けられないですね。むしろ日本人が韓国コスメを買いに行くケースのほうが多いと思います。
K.N
それから、東南アジアの方も少数派。日本人とは肌の色が違うこともあって、日本人向けの商品には合わないのかもしれないね。
K.O
興味深かったのは、日本人と肌の色が近い中国の方でも、日本人とは色の好みが違うことです。キャンメイクの商品でも、Aという色は中国の方にすごく売れるのに、Bという色は日本人しか買わない、とか。
K.N
インフルエンサーの影響が大きいのかもしれないね。ある中国人女優のインフルエンサーのSNSをチェックしていると、その女優さんがある商品をSNSに投稿したら1年間ずっと「即完売」状態。店舗に入荷してもすぐに中国の方に売れていってしまうという。毎月の会議でも「今、中国で影響力があるのは、このインフルエンサーだ」とつねに共有していた。大阪は観光スポットが多いから、K.Oくんはそういうインバウンドの動きを目の当たりにしてたんじゃない?
K.O
そうですね。入社してすぐの2017年と、翌2018年がインバウンドのピークだったと思います。皆さん、観光がてら買い物をしていくわけですが、買い方に迷いがありません。事前に、どの店に何を買いに行くかを決めているらしいです。
K.N
中国の方はそういう傾向がはっきりしているよね。だから我々の売場づくりも、「インバウンド向けにおみやげを売っているスペース」であることがすぐにわかるように、視覚に訴えることを意識した。例えば私が仕掛けたのは、「和」を感じさせる売場。鳥居のパネルを置いて、和紙に筆書きしたPOPを貼って……と、明らかにインバウンド向けとわかるようにね。
K.O
観光地のコンビニエンスストアのおみやげ売場みたいな?
K.N
そうそう!ストレートに、わかりやすくね。K.Oくんはどんなことを?
K.O
通常の売場では、キャンメイクやセザンヌは定番の什器にスタンダードなメイクを全部並べます。でもインバウンドが多い店舗では、できるだけ入り口に近い柱周りをお借りして、人気商品をフックにかけて並べるんです。こうしておくと、道を歩いていて「あそこにある!」とわかりますから。
K.N
商品を見つけて喜んでくれている笑顔を見ると、本当に嬉しい。あるとき、たまたま店舗様で陳列をしていたら、外国人の方から店舗スタッフの方と間違われて話しかけられたことがあって、スマホの画面を見せながら「この商品どこにありますか?」って。場所を教えてあげたら、私が仕入れに関わった商品を手にしてすごく喜んでいたのを、今でも覚えている。
K.O
インバウンドの方たちが喜びながら買っていく様子を見ると、達成感ありますよね。
K.N
そして「いい旅だったな」と思ってもらえたら、最高だね(笑)。

コロナ禍の前から、
インバウンドの変化は訪れていた

インバウンドにおける市場の変化について教えてください
K.N
一般的にはコロナ禍でインバウンドが激減、というイメージだけがあると思う。でもその前にも節目があったんだよね。2019年1月に中国で施行された「電子商務法」(電商法)がそう。日本などで爆買いした商品を、中国で転売するソーシャルバイヤーの活動が規制された。
K.O
電商法はインパクトありましたね。社内でも「電商法の内容は覚えておくように」という話になりました。
K.N
ひとくちに中国人のインバウンドといっても、実は中身が二極化していた。観光のついでにお土産として化粧品を買う方と、爆買いで化粧品を仕入れるソーシャルワーカー。後者が減ったことで、いったん化粧品の需要がおさまったというのが実態じゃないかな。社内では誰もインバウンド需要が永遠に続くとは思っていなかった。
K.O
電商法には「ありがたい」という思いがあります。キャンメイクやセザンヌの商品は、アジア約10ヶ国で販売中です。関税がかかるので、国内に比べると現地での価格が多少上がってしまいます。そこにソーシャルバイヤーがやってきて、安い価格で同じ商品を出してくるのはアンフェアですし、現地の販売代理店様にも大変な迷惑がかかる。こういう問題をクリアにしてくれたのが電商法ですから。
K.N
ただ、今(2020年12月取材時)は海外旅行そのものが制限されて、インバウンド自体が激減しているから、メーカーも店舗も厳しいのは事実。まずはビジネスの存続をかけて、ターゲットを日本人に、商品をマスクメイク、すっぴん系ベースメイク、CICAクリームなどにシフトした売場を提案していかなければね。
K.O
そうですね。私も、アイブロウなど目元系に特化したプロモーションを行っています。

インバウンド特需があってもなくても、
IDAグループの強みは変わらない

市場の変化に左右されない、IDAグループの強みとは?
K.N
ここ数年のインバウンド向けのビジネスは、あくまで特需に過ぎない。特需なのだから、もともと「無いもの」として考えるべきもの。だから普段通りに強みを最大限に発揮していこうということになる。IDAグループの強みはやはり、メーカーから仕入れられる「商品数」。お客様のニーズに合わせた「プロジェクト陳列」。そして、世界一楽しい売場をつくるノウハウ。インバウンドがなくなっても、この強みはそうそう揺らぐものじゃない。
K.O
IDAグループ内のつながりも強みだと思います。井田両国堂の大阪店に、私の5年上の先輩がいるのですが、その方が私を店舗様に紹介してくれました。「日本人向けのプロモーションを提案してほしい」という店舗様のご要望に応えるために、私に声をかけてくれたんです。そして2人で一緒に、キャンメイクやセザンヌの売場づくりをしました。こういうつながりは、心強いですね。
K.N
本当にそうだね。今後、インバウンド向けに売上を伸ばすチャンスが訪れたら、それはそれで一生懸命やればいい。旅の楽しい思い出をつくってもらうためにね。

※2020年12月取材当時の内容です。

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