A.O / 井田コーポレーション 研究開発室 / チーフ
私はもともと化粧品に詳しくありませんでした。でも、大学の授業で化粧品をつくったり、化粧品メーカーの方の講義を受けたりしたこと、大学院で化粧品に関するテーマの研究をしていたことから身近に感じるようになったのです。気づけば、友人に勧められて買ったものはIDAグループの商品ばかり。研究で身につけた知識・技術を、友人に愛されているブランドの研究開発で活かせたらと考え、IDAグループに入社しました。
研究開発の仕事は、まず各ブランドの企画担当とのコミュニケーションから始まります。企画から「こういう使用感の商品をつくれませんか?」などの相談を受ける場合と、私たち研究開発側から「うちの技術を使ってこういう商品をつくりましょう!」という提案をする場合など、きっかけは様々です。後者については、研究開発室内にあるコンセプトチームの市場分析がベースになります。研究者として経験を積んだメンバーが、市場で人気のある商品について、処方や原料をチェック。IDAグループに蓄積された技術を活かして、お客様に支持される商品がつくれそう! と判断したら、企画や、半年ごとの社内報告会で経営陣にプレゼンするのです。
研究開発の部門がグループ内にあることで、企画は相談を持ちかけやすいですし、商品化もスピーディーに進められます。私たちにとっても、様々なブランド・商品の研究開発に挑戦するチャンスがたくさんあることは、技術の蓄積に直結します。お互いにとってメリットの大きい環境です。
商品コンセプトが決まったら、使用感や仕上がりについて企画と共有。商品化に向けて、原料の特徴を把握し、成分の調査・スクリーニング(配合方法の選択)を行います。その後、温度・湿度・光などによって変質しないか、お客様に安全に使っていただけるか、何度も試作をした上で処方、料理で言う“レシピ”を設計するのです。
私は入社5年目に、初めてゼロから処方の設計を任されました。商品はセザンヌの『UVウルトラフィットベースEX』です。既存商品のリニューアルなので、使用感や仕上がりについて大きな変更は求められていません。ただし、環境に負担の少ない原料にスイッチしたいという強い要望がありました。また、研究室のビーカーで設計した処方と、工場での量産に適した処方はかなり違います。難しい課題を前にフリーズしそうな私を支えてくれたのが、上司や先輩です。
代替の原料をたくさん教えてくれたり、「このタイミングでこの原料を入れると、粉がきれいに分散するよ」といった技術的なアドバイスもしてくれたり……。おかげで安心して処方設計に取り組めました。何より、実験がうまくいかなくても「勉強になった、よし次!」と考えられるようになったことは大きな収穫です。
IDAグループの研究開発は、ブランドの企画担当との距離が近いので、商品化に向けてたくさん挑戦できる環境にあります。私はこれからも研究開発に挑戦し、「あの人なら何とかしてくれかもしれないから、相談してみよう」と言われる存在になるつもりです。